「コーヒーが不味いって・・・
私、自分の仕事抱えてて忙しいのに1日に何度もですよ。」

「それは大変よね。」

全く人ごと・・・

「私コーヒー嫌いなんです。
おいしいと思えないものをおいしく入れろって無理じゃないですか?」

う~ん。そういうものかな?

好き嫌いに関係ないと思うけど・・・

決まった手順で決まった量入れれば大抵普通においしいもんじゃないの?


言葉に困ってしまった。


「私の入れるコーヒーは『おいしくない、おいしくない』ってムカつきます。」


私に切れられても・・・


「へ~、広報じゃ自分で入れないんだ。」


そう言ってそこに現れたのは、高瀬だった。
入口の所にちょっとよりかかるかたちで立っていた。

「高瀬さん。」

レナちゃんが急に笑顔になった。

「営業部は違うんですか?」

「うん。女の子の仕事の負担になることは止めようって。」


ふ~ん、そうなんんだ。部署が違うから知らなかった。


っていうか・・・高瀬・・・



この狭い空間で私・・・


ちょっと・・・ドキドキしてる?


相変わらず高瀬ってかっこいい・・・って


どうかしてるよ・・・


「部署によるだろうけど大丈夫だよ。
会社の中も最近じゃ随分と改革されてきてるし・・・。」

高瀬はレナちゃんの肩にポンと手を乗せて励ますように言った。

レナちゃんは高瀬と話ができるだけで嬉しいらしく

「そうですね。私頑張ります。」

って・・・


最近じゃ肩に手なんか乗せられたらセクハラって言うんじゃなかったけ?