普段はめったに使われない非常階段


でも、その日は違った。


「あら?どうしたの?」


同じ総務部の上司の野田課長だった。


泣いていたところを見られ・・・


女性で課長。

仕事ができてバリバリ働いてる人。


普段は個人的な話はしない。



なのに、


全部しゃべってしまっていた。




野田課長は、


「何も別れることなかったんじゃない?」


「でも・・・裏…社内規程では・・・。」


「そうね。社内恋愛が知れたら彼は転勤かあなたが退職ね。」


「ですよね。」


「でも、いろんな手はあるのよ。」


いろんな手って?


「まっ、あなたは若いから、これからまだまだ他の人と恋愛するチャンスもあるし・・・。泣くほどのことはないわ。」


いろんな手って?


あの時、聞いておけばよかったと・・・


今さら思う。


あれから・・・・


そして、他の人との恋愛とかチャンスとか


そういうの・・・

忘れて・・・


ここまで来てしまったと今さら気づいた。