亜美は廊下を歩いていた。 神崎が待っている国語準備室に向かって。 亜美は息を吐いた。 目の前には準備室がある。 ドアをノックしようとしたが、手が震え、足も固まったようにその場から動かなかった。 嫌な汗が流れてくる。 後ろから足音が聞こえてきた。 一歩、一歩亜美の方へ近づいて来る。 やめて お願い、来ないで 近くに来ないで… 「佐原…?」 神崎の声。 立ちすくんでいる亜美の近くまで来た。