聞きたくない。


お母さんのそんな声。


泣くなんてずるいよ。


大人に泣かれたら。


子供はどうすればいいの?


「もうしないから。心配しないで」


そう言って私は、また目を閉じた。


それから、看護師さんに点滴を外してもらうまで。


お互い無言だった。


処置室を出てくとき、佐野先生に会った。


「すみません。お世話になりました」


お母さんは、そうあいさつしてた。


私は後ろで、うつむいてた。


「石川」


先生の声に、顔を上げた。