「何かあるみたいだな」


「はい」


「店が終わるまで寝かせてあげなさい。二人とも、指名が入ってる」


「おし。行くか」


そう言って、陸が立ちあがった。


「お前も早く来いよ」


そう言い残して、陸は先に行ってしまった。


「助けて、か」


初めて石川が出したSOS


それは、俺のこと信用してくれた証だったのかもしれない。


「何でも聞いてやるよ。お前の心が軽くなるまで」


石川の髪をすくった。


真っ直ぐなストレートの髪は、俺の指に絡まることなく抜けていった。


「今度は起きてないよな?」


俺はつい数時間前にタヌキ寝入りされたことを思い出して、苦笑いした。