相変わらず私とあの人達との関係は続いている。
関係は良好。一向に私をイジメようとする素振りは無さそうだから安心した。

そんな中、秋も近くなったある寒い日にまたあの事が起きた。

「一之瀬さんってヲタクでしょー?」
「ってかいっつも休み時間絵描いてない?」
「あーアレ男子の話によるとアニメの女主人公の絵なんだってサ」
「そーなのー!?ヤダ友達になりたくなーい!」
「いつもあそこの席だけ悪臭漂ってるんだって!」
「あたし昨日すれ違ったけどなんか変な臭いした!」

キャー!と興奮する女子軍団。

私も一応ネタを言ってみたり騒いだり。

一之瀬さんは私もややヲタク気味だと思う。
休み時間絵を描いているのも本当だし、話せばいつもアニメの話ばかり。歌わせれば出てくるのはアニソン。

見た目もそこまででは無いが太っているし、眼鏡だし、髪もボサボサ。

悪臭・・・はよく知らないけど。

嫌われる要素はひとしきり揃った人だ。

一之瀬さんには悪いけど、こうやって皆で愚痴を言うのは確かに楽しいと思ってしまう私。

死に追いやってしまったのは凄く駄目なのは知っているけど、唯が死んで世界は何も変わらない。

世界の人口が一減った、という事実だけがあっけなく残る。

唯が死んだ次の日も、ちゃんと朝はニュース番組を見て、昼は勉強して、夕方は部活で汗流して、夜になったら寝る。

本当に。本当に馬鹿らしいほど世界は何も変わってない。変わってくれない。

一人の自殺ではどうにもできないのがこの世界なんだね。

一人の助けを呼ぶ声もかき消されてしまう程この世界はうるさくて

一人の涙が見えない程この世界は汚くて

そんな世界に私は
生きているのか
生かされているのか