それからあたしと将人は適当に授業を受け、HRが終わったと同時に教室を出た。 「こっち」 将人は校門の方には行かず、自転車置き場に行き、ポツンと離れた場所に停めてあるバイクにまたがった。 「これ、将人の?」 それは真っ黒のビッグスクーター。 「おう。じゃあメットかぶって」 将人はあたしにヘルメットを渡し、後ろに乗るように言った。 「しっかり捕まっとけよ」 「うん」 初めてのバイク。あたしはもう、龍平たちの事は忘れていた。