ケータイを手に取った。 お母さんからメールが届いていた。 『引っ越しちゃんと終わった?寂しくない?何か困ったことがあったらいつでも連絡してね』 18歳のぼくを子ども扱いする、優しくて、ちょっとお節介なお母さん。 ぼくはお母さんに対してはいつも強がって接してしまう。 『ちゃんと終わったよ。心配しなくていいから!』 ケータイをベッドに放り投げ、立ち上がり、窓から外の公園を眺める。 もうじき入学式。 期待と不安が交差する眩しい季節。 窓を開けると、少し嫌いな春の匂いがしていた。