「Jさん、たぶん、ここ3つ星レストランですよ!?」

「いや、普通のファミリーレストランだ」


数時間後、もちろん無料で街まで帰ってきた私たちは、ついでに探偵事務所近くの飲食店まで、走ってもらった。

別れ際に、ARTのメンバーをにやにやと、ねぎらうことも忘れなかった。



そして、今。
私の目の前には、私の為に作られた、私の為だけの料理がプレートの上に、所狭しと置かれていた。

「うわ、ディナーセットで、泣いてる・・・」

「違います。これは目から出た『心のよだれ』です! イヤッホー! ヨロレイヒー!!」



もう、美味しすぎて、よく分からない。
私は、自分で自分を抑えきれなくなっていた。






ちなみに、この『ディナーセットの乱』のせいで、Jが私をレストランに二度と誘わなくなるとは、この時の私には知るよしもなかった。