私は、Jの推理を辿るため、口を開いた。

「『長い廊下の謎』の最も不思議な点は、『他殺か自殺かも分からず』に、迷宮入りの事件になっているはずなのに、客室での『殺人』事件と説明されている点です」


そう、それだけで十分なのだ。
隣室も、密室も、長い廊下も、関係ない。




ただ、『殺人であると知っている』。
その事実だけで。




「誰も知り得ないはずの情報を知っているということは、その時点で、犯人か協力者」


『長い廊下の謎』というタイトルも、トリックの1つに、長い廊下を利用したものがあることが、前提となった名前だ。


そこまで事件の内容を知っている時点で、私は、疑うべきだったのだ。


「事件の迷宮入りの協力者なんて、いかにも、ARTのメンバーだよな」

「探偵と共に違和感なくパーティー会場に辿り着くには、そもそも、探偵と一緒に行動してしまえばいいんですね」


つまり、運転手=ARTのメンバーという図式ができあがる。


そう、考えると、
私が取りこぼしていた違和感が次々と、真実というパズルにあてはまっていく。