「金山総次郎は、幕府の計らいで逮捕した。雪月、御前を脅かすものはもうなにもないんだ。」






神納様が、優しい笑顔で言った。






「脅かす?父さんは、わっちを売った・・・」






訳が分からない、と首をかしげると、神納様は凪雛姐さんを見た。






「凪雛、まだ言っていないのか?」







「神納様、失礼でありんすが。少し黙っていてください。」






氷雨が、代わりに言った。






「姐さん・・・どういう事でありんすか?」






雪月は、凪雛だけを見つめて言った。






「風鈴は・・・殺されたんだ。」






「風鈴は、わっちらの手の届かない空へ行っちまったんだ。」






ただそれだけを静かに呟いた。