「何を見てたんだ?」





「いや、星が綺麗でありんすなぁ。」






夜空を仰いで、雪月が言った。






「そうだね。」






それからしばらく沈黙が続いた。






それから風鈴が、唐突に話し始めた。






「夢と現の間。」







「え?」






雪月が聞き返すが、それに答えず風鈴は話し続けた。







「夢と現の間は地獄。吉原っていうのは・・・地獄という苦界でありんす。」








「わっちも初めて美楼閣へ来たとき、この言葉を教わりんした。」








「凪雛姐さんから・・・」