絶対、冗談で言っているんだって分かるんだけど・・・・。

だけど、さっき小百合に焚き付けられたせいで、どうしても変な方向に頭が働いてしまう。


「・・・・ち、違いますっ!シチュー作ったから、どうかなって。ただそれだけですっ!!」


ほら、こうなっちゃう。

意識しすぎたあまり、言動も変な方向になってしまった。

あたし、ここに墓穴を掘りに来たんじゃないのに・・・・。


「なんだよそれ。思いっきり否定されると、それはそれで傷つくんだけど」

「・・・・すみません」

「いいよ。嬉しいし」

「はい・・・・」


それからしばらく、なんとも微妙な空気が部屋に漂っていた。

登坂さんはビールを飲みながら何本かのマイルドセブンを吸って、あたしはそれをチラチラと横目で見ているだけ。

すると、登坂さんが口を開く。


「なぁ、それ」

「はい?」

「温めないのか、シチュー」

「・・・・あっ!そうでした!」


すっかり忘れていたけど、あたしの目的はシチューのおすそわけ。

バカだ、あたし。