そのあとの長澤は、何度も“申し訳ないです”と言っておろおろしていた。

そんな困った顔さえ“かわいい”と思う俺は、自分でも笑うくらいに恋をしているのだと思う。


「詳しいことが決まったら言うから、予定は入れるなよ?」

「本気なんですね・・・・」

「何か文句でも?」

「・・・・いえ、楽しみにしてます」


長澤は、何とも説明し難い顔でそう言うと仕事に戻っていった。










「よっしゃ〜!」


長澤がいなくなり、どこにいるのか分からない店長も事務所にいないことを確認すると、俺は小さくガッツポーズ。

相当嬉しい。


いつもは“うるさい”としか思わない梅村綾もたまには役に立つ。

こう言ってはかわいそうな気もするが・・・・とにかく、彼女のおしゃべりのおかげだ。


───もうすぐ長澤の誕生日。


社員同士でも隣同士でも、2人きりじゃなくてもこの際関係ない。

誕生日を祝ってやりたい・・・・。

それくらいのこと、今は“上司”としての立場でもやってもいいじゃないか。