電話ではたまに連絡を取り合っていたし、綾ちゃんのバイトの件でも力になってもらった。

でも、実際に会う機会は全くと言っていいほどなかった。


奈緒は20歳のときに一回りも歳上の彼と結婚して、半年前に元気な男の子を産んだ。

子育てに主婦に忙しく、もうすぐ仕事にも復帰するらしい。

ゆっくり2人で会う・・・・なんてことはできない状況だった。


「赤ちゃんは元気?」


買い物カゴの商品をレジに通しながらあたしは聞いた。


「超〜元気!いろいろと大変だけど、すくすく育ってくれてるよ」

「そう!奈緒がお母さんかぁ、すごいなぁ〜・・・・」

「そんなことないよ〜。未来も早くいい人見つけな? 好きな人の子どもを産むって、こんなに幸せなことはないからさ!」

「うん!」


奈緒の顔を見れば分かるよ、今がどれだけ幸せかってこと・・・・。

“いいなぁ”ってつくづく思う。


「それで、綾は? あの子、みんなに迷惑かけてない? ほら、自己中な子だから・・・・」


奈緒が心配そうに聞く。

どう答えよう。