「すごいね、お姉ちゃんに聴かせてほしいな」 希望どおりの答えが返ってきて、亜里沙ちゃんはご機嫌でピアノに向かう。 高さが低めで小ぶりなサイズのピアノは子供用に特注で作らせたものかもしれない。 「じゃ、弾くね」 亜里沙ちゃんは小さくて細い指を軽やかに動かして旋律を奏でた。 流れてきたのは古典的なピアノ曲の『猫ふんじゃった』で、徐々にスピードが上がっていく。 「わぁ、すごい」 私は感嘆の声をもらした。 その後、調子づいた亜里沙ちゃんは『猫ふんじゃった』を延々と繰り返す。