私の顔が曇っていたらしく、亜里沙ちゃんが「どうしたの?」と心配してくれた。 羊さんはスゥ~と部屋から出ていった。 「ごめん、なんでもないよ」 「本当に?」 「う、うん」 どっちが年上なのかわからないくらい、私は幼い返事をしてしまった。 「落ち込んだときは音楽が一番なんだよ。亜里沙はピアノがうまいんだ」 亜里沙ちゃんは両手を突き出して透明なピアノを弾く真似をする。