ディズニー・キャラクターが散りばめれた壁紙、白いカーテンが垂れ下がった天蓋付きのベッド、ピアノ、本棚と一体化したシンプルな学習机は木製で、上品な子供部屋を目にした私は自分が生まれた環境との違いを痛感した。
「亜里沙ちゃん」と羊さんが声をかけても、出窓の縁に浅く腰掛けている少女は外の景色から視線をはずそうとしない。
「新しいお母さ……お姉ちゃんが遊びにきてくれたわよ」
ややボリュームを上げて羊さんが声を出すと、亜里沙ちゃんがこっちを向いた。
ドキッと心臓が脈打った。
地下鉄駅で見た鏡の中の少女に似ている。背丈や顔の輪郭が瓜二つ。



