「ミキってそんなに泣き虫だった?」

 純子は私の頭を撫でた。

 子供のような扱いをされて甘えている自分がとても弱くて邪魔な存在じゃないかと感じた。


「ところでミキに昔から聞きたかったことがあるんだ」

 純子の口調がやけに明るくなった。こういうときは重要なことを尋ねてくる。

 高校の進路を相談してきたときも同じだった。


「ミキはどうして私をジュンと呼ばないの?」

 質問のあとに“私はミキとあだ名で呼んでるのに……”という不満が付け加えられそうで、私の目の潤みが消えた。


 私は小学校のとき、同じクラスにエリという同じ名前の子がいてよく間違われた。

 名字を省略して“ミキ”と新しい呼び名をつけてくれたのは純子。