「お願いだからやめて!」 私は再び叫び、周りの人にも気づいてもらおうと託した。 しかし、娘の周囲にいたのは若い男子学生が一人。耳にヘッドホンをして視線をマンガ雑誌に集中させている。 周りの助けは当てにできず、私は娘との距離を詰めた。 パァ~ンと警笛を鳴らし、アルミ合金製の車体がホーム内に入ってきたことを告げる。 「そんな……」 警笛と同時に私の不安は絶望へと変わった。