「また明日ね」


「うん」とだけ返事をして交差点で純子と別れた。


 そして、純子の姿が消えるのを待ってから私は地下鉄駅に引き返した。


 柳沼家に向かうには学校に行くときとは逆方向の【姫野丘行き】に乗らなければいけない。


 平豊駅は対向式のプラットホームで【姫野丘行き】の2番ホームにも鏡が設置されていた。


 目が鏡を追いかけてしまう。


 小心者の自分に愛想が尽きてため息が出る。


 【姫野丘行き】の地下鉄がホーム内に滑り込んできて、平豊駅から離れることができた私は安堵した。