「いいよ、私がやる」 「たまには……ね」 お母さんが年甲斐もなくウインクして私を遮る。 なにか魂胆があるなと思いながらテレビを見ていると、洗い物を終えたお母さんが私の向かい側に正座した。 「実はね……」 相手ができて、再婚を打ち明けられるのかと思った私は内心ドキドキした。 「ミキ、ごめん。今月ピンチなんだ」 お母さんは両手を合わせて謝る。 「いいよ、気にしないで」 私は笑顔が引きつらないように注意してお母さんを気遣った。