お嬢様、お母様、旦那様……丁寧な言葉を普段から使っていると思われるメール。 母親を不幸な事故で亡くしたという文章に心が揺さぶられた。 片親を幼い頃に失くした痛みは経験者でないとわからない。 住所も意外と近い。 どうしよう? 私が本気で思い悩んでいると、玄関のドアが開いた。 「ただいま」 「お、おかえり」 私は後ろ手にケータイを隠した。 「おぉ~今日は中華で攻めてきたかぁ~おいしそう」 お母さんは着替えをすませず、さっそく食事をはじめようとする。