本は新品同様で学習机の横に落ちていた。

 整理整頓されている部屋の中で、その本が拾ってくれとでもいうように存在意義を主張していた。


 1871年ルイス・キャロルによって書かれた『鏡の国のアリス』で、白いドレスを着た少女の後ろ姿が表紙になっている。


 読んだことはないけれど、鏡の中へ通り抜けることができた少女が向こう側の世界で旅をするという話だったと思う。

 『不思議の国のアリス』の続編として有名な児童文学。


 『鏡の国のアリス』の本が唖璃子ちゃんの部屋にあるということは、信じたくないけど亜里沙ちゃんが言ったことには事実が含まれていると認めてあげないといけない。