ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!と重量のある姿見がぶつかり合う鈍い音と、鏡が割れるすさまじい音が交差する。


 姿見は引力に引っ張られるみたいに亜里沙ちゃんと羊さんに向かっていく。


 悲鳴が聞こえた気がしたけれどすぐにかき消され、最後に倒れた鏡に押された2人は窓ガラスとともに外へ放り出された。


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 数秒前の轟音が嘘のように鏡の部屋には静寂が満ちていた。まるでさっきまでの出来事が夢だったとでもいうように……。


 時々落ちる鏡の破片がしなやかな雨音に聞こえ、私を現実世界へと引き戻してくれた。