私は階段を駆け上がり、純子の家に再び向かった。


 ケータイをかけたが「ただいま電話に出ることができません……」という愛想のない女性の声が流れ、私はピーッという発信音のあとに「純子、すぐにかけてきて!」と伝言を残した。


 純子が言った“お願い、今日中にちゃんと決着をつけるから……”の“決着”とはどんな意味があるのだろう?


 私は馬鹿だ。純子はちゃんと隠れたメッセージを伝えてくれていたのにそれに気づいてあげられなかった。


 純子の家のドアをさっきよりも激しく叩いて呼んでも反応はなし。


 裏に回ったけど、窓から人影は見つけられなかった。


 まさか柳沼家に……。


 私は否応の無い不安に押しつぶされそうになった。