「とにかく今日は……駄目」

 純子の頑なな姿勢は崩れそうもない。

 人の心が簡単に変らないことを思い知らされた気がした。


「純子、明日はちゃんと会って話そうね」


「うん、約束する」


 後ろ髪を引かれる思いだった。


 何度も振り返りながら純子が顔を出してこっちを見てないか確認した。


 バスだと完全に遅刻してしまうため、私は久し振りに地下鉄駅に足を運んだ。


 悪夢くらいでうろたえているようじゃ純子を助けることなんかできない。