持久戦を宣言して間もなく、純子が口を開いた。
「お願い、今日中にちゃんと決着をつけるからミキは学校に行って。遅刻しちゃうよ」
電話のときとは違う気遣いをみせる純子のお願いは、それだけ問題が深刻なことを意味している。
「私は頼りないけど、悩みを聞いてあげることぐらいはできるよ」
私は立ち上がってドアに口を近づけて訴えた。
「明日になればすべて話せるようになるから。だからお願い、信用して」
「ドアを開けて顔くらい見せてくれないの?」
私は質問したあとですぐに失敗に気づいた。
質問には自分が安心したいという身勝手な要素が含まれている。



