「お姉ちゃん、毎日のようにケガしてるでしょ?なにがあったの?」 私が再度尋ねると勇人君は首を横に振った。 「お願い、なにか話してくれないかな?」 私は勇人君の肩を両手で掴んで軽く揺らした。 「なにも話してくれないんだ。本当だよ」 見上げる勇人君の眼差しは瞬きすることなく、嘘がないように思える。 「昨日家に帰ってきてからケガは増えてなかった?」 「昨日は新しいケガはなかったよ」という勇人君の表情はさらに沈む。 純子のケガが家庭内に暗い影を落としているのは間違いない。