「わかった」
私は心の中とは正反対の返事をしてケータイを切り、再び走り出す。
純子の家の前でナップサックとランドセルを組み合わせたような通学鞄を重そうに背負う男の子の姿を発見した。
「勇人君!」
私は大声で勇人君を振り向かせる。
あっ?!と、ビックリした顔をして私を見詰める勇人君は、前回会ったときよりちょっと痩せたかなという印象を受けた。
「お姉ちゃん大丈夫?」
「う、うん」
歯切れの悪い返事をして勇人君が俯く。
丸刈りで吊り上がった一重瞼が特徴的な悪戯っ子の顔だったのにいまは無気力。
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