交差点で待っていても純子がなかなか来ない。 ザワザワッと嫌な胸騒ぎがする。 バスに乗り遅れないギリギリまで待ってからケータイをかけたが、出てくれない。 急いで純子の家に向かう。 角を曲がるたび、走ってくる純子と衝突してほしいと祈った。 純子の家まであともう少しという距離まで近づくとケータイが鳴り、細長いサブディスプレイに“純子”という着信LEDの文字が点滅する。 「もしもし、純子?」 私は素早くケータイを耳に当てて純子の声を待つ。