亜里沙ちゃんとの関係がこのまま自然消滅してくれることを祈って、あの日から私は柳沼家に行くのをやめた。


 亜里沙ちゃんが鍵盤蓋で私の指を挟んだ行為は、衝動的なものなのだろうか?


 人にケガをさせて謝るという感情が微塵も汲み取れなかった亜里沙ちゃんのあの顔は“本性”なのだろうか?


 窓から突き落とそうとしたのは警告?だとすると鍵盤蓋を閉めたのは意図的だったということになる。


 いま思えばこうなるんじゃないかという不安要素が私の中でくすぶっていた。


 玄関ロビーから中廊下に飾ってあったイラスト、機能よりも娘の欲求を優先した階段など、亜里沙ちゃんに好き勝手させているのではないだろうか?