子供がどうしてそんな顔ができるの?というぐらい、細くした目から見下す目線、片側だけ吊り上げた唇から「チッ」と鳴らした舌打ちは惨く響いた。


 私は怖くなって亜里沙ちゃんの部屋を飛び出した。


 玄関から出るときに羊さんの声が聞こえたような気がしたけれど無視をした。


 羊さんに真実を話したところで信用が勝ち取れる保障はない。

 亜里沙ちゃんが「いじめられた」などの嘘をつけば私の方が犯罪者扱いされる可能性がある。


 小遣い稼ぎなんかするんじゃなかった……。


 不安定ながらもブランコの台座にとどまっていたガラスコップがひっくり返り、私の心を後悔でびしょびしょにした。