「ねぇ、見て。裏庭に猫がいるよ」


「うん」

 窓から外を見ると黒猫が、芝生の上でゴロンと一回転しながらの日光浴。


 愉快で長閑な風景だけれど私の気持ちは裏腹。


 亜里沙ちゃんのひと言で切られてしまったポプラ並木。

 切り株の年輪模様が目玉に見えた。ギロッと監視されているようで気味が悪い。


「どうしたの?」

 亜里沙ちゃんが心配してくれた。


「なんでもないよ」と言う私の顔は強張る。

 昨日、亜里沙ちゃんに押された恐怖心は簡単には抜けない。