「そ、そう……」

 言葉と表情が一致していない亜里沙ちゃんを見て、私は鳥肌が立ってきた。


「ジュース持ってきたから一緒に飲もう」

 廊下の床にジュースを載せたお盆が置いてあった。


 私がお父さんの部屋に居るのを見て、亜里沙ちゃんがどんな顔をしたのか気になる。


 黙ってお父さんの部屋に私が入ってしまったことで、亜里沙ちゃんは自分でも気づかない感情が心の中で芽生えたのではないだろうか?


 “お父さんの部屋を汚した”と思われ、感情に怒りや嫉妬が渦巻いていたのかもしれない。


 “子供だからしょうがいない”と私は今回の出来事を腹の中に収めた。


 しかし次の日、私と亜里沙ちゃんの間に決定的な亀裂ができてしまった。