「お父さんのお部屋だってよくわかったね」
笑っていた亜里沙ちゃんは無表情になり、妙に大人びた口調で指摘してきた。
「そこの写真を見たの」
私はコーヒーテーブルの上のフォトフレームを指差す。
「この写真は最近撮ったんだよ」
亜里沙ちゃんは切ない顔で写真を見詰める。
「優しそうなお父さんだね」
私は見たままの感想を口にした。
「うん、イラストをたくさん買ってくれたり、おとぎ話に出てくるような階段がほしいと言ったらすぐに付けてくれたりしたよ」
亜里沙ちゃんが苦いものでも口にしたかのように顔をしかめる。