純子の笑顔は小学校のあの時から変わらない。


 私たちが小学校5年生のときに『友情』という遊びが流行っていた。

 それはお互いが向き合って両手を握り、足を軸に遠心力を活用してグルグル回るという単純な遊び。

 どちらかが手を離すまで終わりはこない。

 回っていると2人のうちの片方が主導権を握り円の中心となっていく。

 手を離して倒れなかった方はこれから友達として付き合うのか、それとも一生友達にならないと倒れた方に宣言できる絶大な権限を与えられる。


 子供ならではの発想が生んだ幼稚で残酷な遊び。


 私は『友情』という遊びが嫌いだった。

 回っていると手が痛くなるし、目も回る。

 非力な私はいつも先に手を離してお尻を床につけてしまう。


 『友情』のお陰で友達は随分減った。

 私があまりにもひ弱なので面白がって誘われる回数も増えていった。