けれど、次に純子が言った言葉は意外だった。 「私、週末だけ飲食店でバイトしてるんだ。歳をごまかしてね。内緒だよ。だからいまはセレブ気分なの」 「そうだったんだ」 クッキーの試食会を断った理由を純子らしくサラリと教えてくれた。秘密の共有は絆を深めそうな気がした。 “私もお小遣い稼ぎしてるんだ” そんな簡単な告白がなかなか言えない。伝えられない。 2人で運営しているホムペの宣伝板に書き込まれた怪しい依頼に、黙って手を出した負い目がある。