「明日学校は行けそう?」 「純子が一緒なら」 「甘えん坊さん」そう言ったあと、純子はフフと笑った。 「タクシー代、払うね」 純子が背を向けて靴を履いている隙に、私は茶封筒からお金を出した。 私が降りてしまったバス停からのタクシー代までお世話になれない。 いま私が自由にできるお金は悔しいけど茶封筒の中身だけ。 手をつけても神様は許してくれるはず。 「いらないよ」 「そんなわけにはいかないよ」 うれしい言葉だったけど、私は五千円札を純子に差し出した。