「晩御飯食べてかない?」 「う~ん、ミキの手料理食べたいけど、誰かさんのせいでかなり遅くなっちゃったからね」 純子には小学校3年生になる弟の勇人君がいる。きっと腹を空かせてお姉さんの帰りを待っている。 「純子のお陰で元気が出てきたよ。私、大丈夫だよ」 甘えっぱなしじゃいけない。このままだと本気で嫌われてしまうと私は思った。 「本当に?」 「うん」 私は瞳を輝かせるくらい目を大きく広げ、自分なりに不自然な笑顔にならない工夫をした。