背中に感じる温もりに私は応えてあげないといけない。
とてもじゃないけど、お世話を辞めたいなどと言えなくなった。
亜里沙ちゃんの部屋へ行くと、まずはその日着ていたウェストに大きなバラの形をしたコサージュがポイントのドレスの自慢話。
そのあとに疾走感のある『猫ふんじゃった』を聴かされた。
私がパチパチと拍手したとき、羊さんが部屋へ入ってきた。
約束の1時間より10分早い。
「どうぞ」
差し出されたのは最初訪問したとき、客間で飲んだ紅茶とオレンジジュース。
前回出してもらったオレンジジュースに手をつけなかったことを思い出した。
羊さんに気を利かせてしまったのかもしれない。



