国語科準備室のひんやりとした扉に手をかける。


通い慣れてはいるけど、やっぱりドアを開ける瞬間だけは緊張する。



扉をあけるとほんのりコーヒーの匂いが鼻をかすめた。



「琉花先生」



沢山机があるのに人影は一つしかなく、それが椅子を回転させながらゆっくりこちらに振り返る。


「亜姫じゃない」



楽しそうに笑いかける。


「久しぶりじゃない。最近こないからつまんなかったよ」



最後に会った時と変わらずハイテンションだなあ。



琉花先生はまだ26歳と若い先生で、口調も行動も高校生の私に負けないくらい元気。