SEASON

知りたいと思う反面、知りたくないとも思う。

知ったら、裏で何を考え、思ってるのか嫌でもわかってしまうから。

そんな風にあたしが1人考えていても小宮先生は優しい女性の声で続けてくる。

「学校までは何で来てるの?」

「電車です」

多分先生は知らないと思う。

あたしが今住んでるところは先生の資料に記載されている住所と違うってことに。

住民票も何も移してないから当然と言えば当然だけど。

「学校は楽しい?」

「はい、楽しいです。友達もできましたし」

「そうね。栗原さんの周りにはいつも友達がいるみたいだしね。部活入ってないけどどうして?」

1人暮らしで忙しくてバイトもする予定だからと素直には言えるわけなくて、本日3回目の苦笑いをする。

「気になるような部活がなかったんですよ」

「そうなんだ。こんな部活があったら入ったのにっていう部活ある?」

「あー…言うならギターを使う部活…ですかね?」

「そうなんだ。私はてっきり栗原さんは運動部に入るかと思ってたわ」

ズキン、と少し心が痛かった。

ねぇ先生、あたしほんとは運動部でやりたいよ?