SEASON

「何って、いろいろ?」

「いや、俺はそれ知りたいんだけど」

「んー、まぁ、個人面談のこととか?」

「へー」

佐田くんが聞いてきたのに気のない返事を返されて、今度は何を言われても絶対前を向こうと決意した時だった。

「栗原ー、佐田ー、なんか俺に質問でもあるのか?ん?ん?今のうちなら何でも答えてやるぞ?」

黒板に書く手を止めて数学教師はあたしと佐田くんをニンマリと見つめていた。

メガネの奥の目が笑ってないって。

普通に怒られるのより怖いんだけど…。

実際目の前の教師が怒鳴り散らしてるところはまだ見たことはない。

まぁ、入学して1ヶ月半だし、先生も笑顔でいようとしてるのかな?

「で、質問は?」

「ないです」

「栗原は?」

「………ありません」

「よろしい」

あたしは話かけられて答えただけなのになんで謝らないと駄目なの。

大声にべらべら喋ってたわけじゃないのに。

心の中で毒づいていたのが伝わったかわからないけど教壇の上からギロッ、と睨まれて慌てシャーペンを走らせた。


東野で過ごす日々はこんな毎日。

学校生活はそれなりに楽しいし、充実してる…と思う。