ＳＥＡＳＯＮ

「ぅ……」

愛菜の上目使いに断りきれず「い、いつか…ね」と曖昧な答えを返した。

「やったー！約束だよ？」

その時の愛菜の喜びようはすごかった。

一気にテンションが上がり、あっという間に次の話題に移っていた。

もうこれは早技だね。

その後、愛菜と朱理を中心に話題が絶えず続きあたしは終始聞き手に回っていた。

時計を見ればそれなりの時間になったのでここだけはあたしが「もうそろそろ帰ろっか」と言い、今日はお開きになった。

朱理に見送られながら家の前で別れて、あたしは駅へ、千鶴と愛菜は家の方へ足を向ける。

駅に向かいながらやっと１人になったと小さな溜め息をつく。

別にあの３人が嫌なわけじゃないよ？

ただ、合わせるのに時々疲れるだけ。

偽ってる自分には絶対ならないって思ってたけど、自分を守るためには偽ることも大切なんだって学んだ。

友達が笑うたびに少し悪い気はするけど、これが一番スムーズに進む方法なんだって思う。

あたしの家の最寄り駅から歩いて家へ向かう。

立派とは言えないアパートの一室を鍵で開けて入る。