SEASON

「ゥ……」

案の定言葉を詰まらす愛菜。

「朝ご飯から自分で作らなきゃだめだし弁当もだよ?食材も自分で買って調理しなきゃだし掃除洗濯も自分がやらなきゃ誰もやってくれないよ?」

「……1人暮らしは社会人になってからかな?」

あたしのちょっとしたからかいに愛菜な最初の勢いむなしく失速していった。

そうそう1人暮らしは大変なんだぞ。

でもあたしはあそこにいる事を考えたら今の苦労なんてなんとも思わない。

「あれ?捺未って1人暮らししてるの?」

「えっ、なんで?」

「愛菜に説明してるだけなのにすっごく大変さが伝わってきたから」

千鶴に言われ、あたしは無意識に力説していたんだと自覚した。

「でさ、1人暮らししてるの?」

「……この4月から…ね」

首を横に振るのは容易いが千鶴には嘘をつきたくなかった。

ううん、千鶴だけじゃなくてここにいる3人にはつきたくない。

せっかくできた友達なんだから素直に付き合っていきたい。

「わぁ、本当に1人暮らししてるんだぁ」

「ね、今度は捺未の家行こうよ!」

「愛菜…それはちょっと…」

「えー…ダメ?」