SEASON

あたしたちが玄関に入った時、奥から女の人が出てきた。

「いらっしゃい」

とても優しそうなこの人は言われなくても朱理のお母さんだってわかる。

上品そうで穏やかだな。

「お邪魔しまーす」

口々にあたしたちが言い、出されているスリッパを履いたら居間に通された。

中も外見通り洋風でここに住んでる人を表すかのように落ち着いていてオシャレだった。

「適当に座って」

朱理の言葉にぞろぞろと適当にソファーに座り、落ち着いた。

キョロキョロと見渡している千鶴が口を開く。

「朱理の家って…朱理らしいね」

「あたしもそれ思うな」

「だよね。なんかこう…朱理的な?」

「それじゃ意味わかんないって」

「えー、だって他にどう表現したらいい?」

千鶴の言葉にウッ、と詰まる。

朱理らしいて言っても雰囲気が似てるわけで具体的な事は…それに知り合ってまだ1ヶ月もたってないし。

返事に困っているとオープンキッチンから朱理と朱理のお母さんがお盆を手にこっちに来て、目の前のテーブルに紅茶とお菓子を置く。

「どうぞごゆっくり」

優しく微笑む朱理のお母さんに「ありがとうございます」と言って、紅茶を一口飲む。