説明会場から制服の採寸をやって教科書代を払って後日受け取りとなりその日は解散となった。

帰り道はどこにも寄らず数えるほどしか通ったことがないアパートまでの道のりを何の気なしに歩く。

ある理由から高校から1人暮らしをするようになった。

中学の友達にはほとんど教えてないし、近所の人なんかはもっての他だ。

来る人なんて誰もいないと思っていた。

なのにアパートの前にシルバーの車が一台止まっている。

もしかしたら――――

嫌な不安がよぎる中、早足に車の横を通り過ぎようとした時車のドアが開いた。

心臓が飛び出そうなのをこらえて駆け出そうとしたとき後ろから声が聞こえた。

予想していたものとだいぶずれた声。

「捺未」

その声に懐かしさを覚え、足を止めて振り返る。