SEASON

寒気を感じずにはいられないと言うのはあたしだけなのかな。

「ふーん。まぁ、俺は別にいいけど…て捺未大丈夫?」

あたしに振られるとは思ってなくて「へっ?」と間抜けな声を出してしまった。

もっと女の子らしい声だしなよあたし!と自分を叱咤しつつ陽生を見上げる。

「時間遅いけどご両親とか心配しない?門限とか大丈夫?」

あぁ、帰る時間ね。

「あたしは大丈夫」

「でも年頃の女の子だしな…連絡でも入れとくか」

陽生の提案にあたしは首を横に振る。

「連絡も入れなくていいよ。どうせ誰も出ないし、あたしを待ってる人とかもいないし」

家に帰ってももうあの光景は見なくて済むんだって言葉にしたことで確認する。

そのことにすごく安心する。

もうあの空間にあたしは居ないんだって。

あたしの言葉に引っかかるものを感じた千明を無視してあたしは笑顔を作った。

「ねぇ、ここどんなところか案内してよ」

陽生の腕を無理やり引っ張った。