SEASON

あたしを指差す風幸にあたしはうんうん、と頷いて説明を促す。

「あれ?マーのこと言ってなかったっけ?」

「何も聞いてない」

あたしがそう答えると陽生は「ごめんごめん」と言って補足し始めた。

「マーってのはここのすぐ隣にあるライブハウスなんだよ。んでこの週末あたりにマスターんとこ行こっかなって」

「ふーん」

ライブハウスねぇ。

噂とか漫画とかでよく見るけど実際どーゆー所なんだろ?

いまいちイメージが持てないなぁ。

「陽生、それだけじゃないだろ」

風幸の言葉にあたしは「まだあるの?」って聞くと陽生はニンマリと笑った。

「捺未のお披露目」

たったその言葉を理解するのに時間はかからなかった。

理解するのと同時に背筋がぶるっ、と冷えたような気がした。

それはすなわち――――ライブハウスで演奏するって事…だよね?

――――!!!?
無理無理!この3人の前でめあんなに恥ずかしかったのにその何倍もの大勢の前でとか無理!

あたしが文句を言おと口を開く前に陽生がイタズラっ子のように笑った。

「てか、もう宣伝してきたからドタキャンはなしな」

…そんなぁ。